立川幸治先生より



医療情報部創部30周年おめでとうございます。

日々の積み重ねだけでは気づかぬが、区切りの年月を迎え振り返ると大きな周りの環境変化にはっとさせられることがあります。

医療情報部が創設された1990年から今に至る30年はまさにInformation Technologyにおいて劇的な変化が次々に起きた時でした。パーソナルコンピューターの勃興、インターネットの出現と急速かつ全世界的普及、スマートフォンの登場とそれが当たり前になった世界、さらに様々な端末がネットにつながり、世界中がリアルタイムに反応する時代へ。これらが30年という間に瞬く間に当たり前になりました。その只中に身をおき体感できたのは貴重な体験だったと、顧みるに隔世の感がいたします。

その間、病院カルテの情報化から始まった医療情報学は、医療の行為や業務の情報化へ進み、今や(ようやく)一定規模の病院や多くの診療所でも電子カルテが当たり前になってきました。電子カルテ普及により、紙ではできなかった同時情報共有や蓄積された情報分析が可能になり、臨床研究や教育に使われるようになりました。2011年に名大病院を離れて以来、一昨年から兵庫県立の救命救急センターERに出向き、久しぶりに医療現場でのカルテレビューを続けましたが、そこでカルテの電子化がもたらした威力を改めて実感しました。教育研修効果も絶大です。7次に及ぶ進化を遂げた名大医療情報システムも同様の効果をもたらしているものと確信します。

体調を崩したことで残念ながらERへの参画は中座しましたけれど、今度は一個人として私は医療情報の電子化、自らのパーソナルヘルスレコード(PHR)を記録しはじめています。体重、血圧、心拍、バイタル情報にはじまって、水分摂取や歩行やエアロバイクなどの運動量まで、夜間には睡眠、使用しているCPAPデバイスのデータ、酸素飽和度様々なデータをデバイスから直接取りこんでいます。すでにグーグルやアップルが提供しつつありますが、このようなPHRはプラットフォームに蓄積され見える化されたことで自らの利活用が随分容易になりました。もちろんプライバシー保護やセキュリティ対策は気になるところです。また、様々な身体、感覚障害を補完するテクノロジー、アシストロボットや診断における支援AIの開発などが今後ますます医療の有り様を変えていくでしょう。一人のユーザーとして、その迅速な進化を切望しています。

Medical ITセンターがそのフロンティアたらんことを願いつつ、今後ますますの発展を祈念申し上げ、私のお祝いの言葉を締めくくらせて頂きます。


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立川幸治

1983年東京医科歯科大学医学部卒。総合内科専門医。循環器専門医。

虎ノ門病院レジデント、関東逓信病院を経て、1990年日米医学医療交流財団フェローとして渡米。帰国後、医療コンサルティング会社ドクターズオピニオン設立。多国籍企業マネジメントやベンチャー企業マネジメントを経て 、2004年4月~2011年3月 医療経営管理部長・教授へ就任。 名大病院第5次総合情報システム(NEO CHART)稼働稼働、運用に尽力した。

2011年4月~父が創業したリサイクル事業会社大阪紙業代表取締役社長 としてその死後事業再建に携わる。名古屋大学医学部非常勤講師。タチカワ&アソシエイツクリニック代表。日米医学医療交流財団評議員。